2001.2.27
特定非営利活動の促進のための法人税法等の一部を改正する法律案 提案理由説明
まず、租税特別措置法等の一部を改正する法律案にあります、政府のNPO支援税制案は、とてもNPOの支援税制といえるものではありません。それどころかかえってNPOの自立性を害し、NPOを政府の支配下におこうとする「NPO政府下請強制税制」であります。
NPOの生命は、政府からの自立であります。政府の管理から離れ自立するところにその存在意義があるのです。政府案のようにいたずらに認定要件を厳しくし、零細なNPOや事業を行っている自立型のNPOのほとんどがその射程外になるような案は、NPOの本質をまるで理解せず、さらに悪いことには、これを従来の公益寄付金税制の中に閉じ込めようとする時代錯誤もはなはだしい悪法と断じざるを得ません。市民の自由な公益的活動をサポートするというNPO支援税制の本質からは、「公益寄付金を政府が特別に認めた特定公益増進法人に支出する場合のみ、税制支援を認める」という現行税制の基本的枠組みを打破することが必要不可欠であります。我々の法案は、その基本的枠組みの変更であり、特増という密室的で税金のムダ遣いが多く指摘されているシステムを根本的にくつがえす法案であります。さらに我々の法案では、寄付金控除などの金銭的な支援にとどまらず、ボランティア活動やホームステイなどの労務の提供についても税制控除を認めるなど、真にNPO活動を支援する内容になっております。これに対して、政府案は、特増の枠組みには何の変更も加えず、その実質はNPOに対して苦難を与えるものでしかありません。
政府案は、要件のほとんどを政省令に落としているため、その詳細は与党税制大綱などでしかわかりませんが、
@NPO法人への事業課税の軽減がないこと、総収入に占める寄付金総額の割合が1/3以上であること、複数の市区町村の者からの寄付を受けること、1者からの寄付金・助成金が寄付金総額の2%を超えた分は寄付金総額に算入しないこと、申請時に認証した所轄庁の「法令、法令に基づく行政庁の処分又は定款に違反する疑いがあると認められる相当な理由がない」旨の証明を受けていることなどとしており、事業をしている自立型のNPOや零細なNPOが認定されにくい極めて制限的な条件である。
A政治・宗教活動を一切禁ずる点も憲法違反であり、全体主義国家の発想である。
ことなど、とてもNPOのための税制とは思えません。そもそも、@のような認定基準は必要最小限なものにとどめ、NPOの評価については、細かな要件を法律や政省令で定めるのではなく、民間の評価機関に委ねて民間で切磋琢磨させることがNPOの制度趣旨に合致します。
我々は、21世紀の日本を、民が主役になり、様々な価値観を認め合って、多元主義(プルーラリズム)のもと、生き生きと暮らしていく社会にしたいと考えています。そのためには、真のNPOの制度化こそが、最も重要な改革の1つであると確信しています。
くり返しになりますが、NPOの本質は、財政学的には、教育、福祉、文化、社会活動などの準公共財をどういう仕組みで運営するかという議論と非常に密接にかかわっています。戦後復興の画一的国家運営の時代を超えて多元的価値観による国家運営をめざすというのなら、教育、福祉、文化、社会活動など分野もNPOと政府とで競い合い、そして時には助け合うという、ゴーイングコンサーンとして自立し生き続けるNPO制度を確立することが21世紀の日本にとって一番必要なことではないでしょうか。
以上のような立場から、政府案のような公的資金の配分をすべて政府がとりおこなうとする考え方は断固否定されなければなりません。我々は、公的資金の配分方式の民営化を旗印に公益寄付金税制を抜本的に改正することにより、いわば税金の使い道を国民自らが選択できる国家運営をめざします。それにより、お上と下々という社会体制そして個人よりも組織を優先する国家体制を根源から変革し、国民自らの意思とお金で公共的な活動をなしコミュニティーを形成する日本を創っていくのです。そのために、私どもは、絶えず社会の動向に目を配り、ブラッシュアップされた法案を提出し続ける不断の努力を惜しみません。この戦いは、まことに恐縮ではありますが、私河村たかしにとってもライフワークであり、私の生命が消えるまで決してとどまることはありません。また、それは、必ず次の世代に引き継がれていくと強く確信しております。
【NPO支援税制 法案対比表】 平成13年3月14日
| 政府案 | 民主党案 | |
| 認定要件 | @ 情報公開 A 事業内容の適正性 ・ 特定の者と過度の関係にない。 ・ 総事業費の80%以上が非特定営利 活動事業費 ・ 寄付金の70%以上を非特定営利活 動事業費に充当 ・ 政治・宗教活動を一切行わない Bパブリックサポートテスト ・総収入金額に占める寄付金 ・助成金の総額の割合が1/3以上 ・3000円未満の寄付はカウントせず ・大口寄付・助成のカウント上限 (2%) ・事業費は分母のみカウント →事業の大きい自立型NPOが認定さ れにくい C 市区町村を超える広がり D 親族が役員・社員総数の1/3以 下 E 青色申告法人と同等の記帳 F 共益・利益追求活動が50%未満 G NPO法人格取得後2年ごとに更新 |
@ 情報公開 A 事業内容の適正性 ・役員等に特別の利益を与えない ・特定非営利活動が2/3以上 ・法令に違反していない Bパブリックサポートテスト ・総収入金額に占める寄付金・助成 金・補助金の総額の割合が1/3以 上、ただし初回は1/5で認める ・小額寄付のカウント制限は設けず ・大口寄付のカウント上限(5%) ・事業費は分子・分母から除外 →事業の大きい自立型NPOでも認定 に差異はない。 CNPO法人格取得後3年ごとに更新 (初回は2年) |
| 認定NPO数 | 全体の数% | 全体の6〜7割 |
| 認定期間 | 国税庁 | 第三者機関 |
| 寄付側の優遇 | 個人 ・所得控除の対象 (所得の25%−1万円) ・相続財産の特例あり 法人 ・損金算入 (特定公益増進法人と同枠) |
個人 ・所得控除と税額控除の選択性 (1万円の足切なし) ・年末調整の対象 ・ボランティア費用も対象 ・相続財産の特例あり 法人 ・損金算入 (特定公益増進法人と同枠) |
| NPOの優遇 | なし | 収益事業への課税を一律22% みなし寄付金控除 |
| NPOの意義 | 行政の下請け 公益法人の二軍 営利事業の排除(行政依存型) NPO=ボランティア=無償 政治・宗教はダメ |
独立した存在 公共部門を担う市民自治の主役 事業による自立 NPO=市民社会の自立した存在(無償 である必要はない) 多様なNPOを認める |